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少年の日の想い出~ロケット発射実験~ [雑感]

小学高学年のころでしょうか,セルロイド製の襟カラーを固体燃料に使ったロケットを飛ばしていました。

ボディは,アルミ製の継ぎ目のない鉛筆キャップです。糸川博士のペンシル・ロケットならぬ,ペンシルキャップ・ロケットでした。
襟カラーカット小.png

燃料は学生服の襟カラーを使います。ピンポン玉の材質でも良いらしいのですがやったことありません。襟カラーを2ミリ角くらいに細かく切り,アルミ製鉛筆キャップに装填し,口をつぶします。燃焼効率を上げるため,マッチの頭を削って混ぜるという技もあるようでしたが,あまり結果は芳しくなかったように記憶します。燃料は純セルロイド,多分重量バランス(燃料のつめ具合)と噴射口のつぶし方にノウハウがあるようでした(というかそれしかありあません)。近くに落ちたものを観察すると,ぴったりつぶしておいた噴射口が2・3ミリ口を開けていました。何分遠くまで飛んだものは回収困難ですので,よい作製条件は分からずじまいでしたが。

固体燃料ロケットで,当時日本が飛ばしていたカッパー型ロケットと原理的には同じものでした。あれも海に向けて斜めに打ちあげていましたが,こちらはもっと低い角度で,45度以下で稲刈りの終わった田んぼなどで飛ばしたものです。低い角度の理由は,機体の腹をろうそくであぶって加熱するので,高い仰角には設定出来ないのでした。

オレンジ色の火を吹いて悠々と打ちあがって行くアメリカの本物のロケットとは違って,少年の飛ばすペンシル・キャップ・ロケットは,発射と同時に煙を吐いて,ものすごい速度で飛んで行きます。
ロケット小.png

石などで設置した発射台にセットし,ろうそくの炎がゆらゆらとペンシル・キャップ・ロケットの腹をあぶります。緊張の瞬間です。上手くいった時は,何秒間かの沈黙を破って突然,「しゅわーーーっ」と言ったかと思うと,あっと言う間に見えなくなり,飛んで行った軌跡に飛行機雲のように白い煙だけが残っていました。何分発射時期は,ろうそくに点火してからロケット内部のセルロイドが発火点に達した頃合いですから,判然としません。あちら任せで秒読みは出来ません。
発射小.png

「成功・成功!」感動の一瞬です。水平距離で100mは軽く飛んでいました。しかし何本も作った機体のうちのうまくいくのは一本か二本で,ほとんどは数メートル以内に「しゅわしゅわっ」と言って落ちるのですが。

秋祭りのころやっていたような気がします。稲刈りが終わると,広々とした田圃は足元は悪いですが,恰好の遊び場所でした。稲の切り株に足を取られたりして運動苦手な少年でも足腰を鍛えられました。

しかしその後,襟カラーの材質が変わってしまって難燃性のプラスチックになってしまい,遊べた期間は長くありませんでした。しかし,子供たちの間でロケットを上げるという遊びのニーズはけっこうあったようで,ロケット花火はたしか姿勢安定のため竹ひごがついていて,空きビンが発射台で,火をつけると音を立てて垂直に飛びました。それから,本格的なものでは,「子供の科学」には「ロケッティ」という,固体燃料の模型ロケットの広告やそれを使った製作記事等もありましたが,模型グライダーに装着するもので,機体も必要ですから,高嶺の花。とても小遣いで入手できるものではありませんでした。

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アヨアン・イゴカー

鉛筆キャップのロケット、懐かしく思い出しました。分かりやすいイラストです。私自身では作ったことがなく、兄が作っていました。作り方で一箇所だけ異なるのは、カラーのセルロイドを装填した後の噴射口の形状です。兄は、ペンチかプライヤーでそのまま挟み込んで噴射口を一文字になるように平らにしていたと思います、Enriqueさんのロケットは噴射口が真中にありますが。
そして、発射してから高く飛んだものでも10メートル位ではなかったかと思います。庭で飛ばしていたのですが、100メートルなど飛ぶなどと言うことはありませんでした。100メートルと言うのは、素晴らしいですね。

by アヨアン・イゴカー (2012-02-28 01:07) 

Enrique

アヨアン・イゴカーさん,nice&コメントありがとうございます。
真ん中の発射台にセットした絵の角度が悪くて,噴射口が絞られて真ん中にあるように見えますが,ほぼ平らにつぶしていました。同じ図の中の「燃料装填後」という絵のほうが正確に表わされていると思います。アルミキャップは柔らかいので,歯でやっていたかも知れません。噴射口の形状も少しいじってみたかも知れませんが,平らにつぶすのが一番良かったように思います。色々試したかったのですが,すぐセルロイド製のカラーが入手困難になり,家の古いカラーを使いはたしてしまいました。おまけに,継ぎ目のないアルミキャップも姿を消しました。
性能は,詰め過ぎず少な過ぎずの燃料の詰めぐあいと噴射口のつぶし方(あとろうそくでの腹のあぶり方)だったと思いますが,水平距離で100mも飛ぶものはよほどうまくいったものでした。高さは仰角からして20,30mも上がったでしょうか。一番下の絵も不正確で,発射後のろうそくの火はロケットの噴射で消えたと思います。
by Enrique (2012-02-28 16:58) 

へっへっへのおじさん

45年ほど前、スチールの鉛筆キャップにピンポン玉を細かく切ったのを燃料にして、ロケット遊びをしました。キャップの割れている部分を切り落とし、ペンチで折り曲げてノズルにして発射。
スチール製でも、かなり威力があったのを覚えています。


by へっへっへのおじさん (2013-12-03 23:34) 

Enrique

へっへっへのおじさん、コメントありがとうございます。
燃料はピンポン球でもよかったのですね。機体もスチール製ですか。
私が使っていたのは、作りやすさの都合で継ぎ目のないアルミ製のキャップでしたが、むしろ有る程度重量があるのも良かったのですね。
by Enrique (2013-12-04 07:29) 

fukuda

小学生の時、クラスメートからアルミの鉛筆キャップでロケットができることを聞いたことがありました。噴射口を小さくつぶすなんてできないだろう・・・どうやって火をつけるんだ?と、嘘だと思っていました。本当にあったのですね。
また、レコードの作り方なんてのも聞いたことがります。下敷きに縫い針で小さい文字を書いて(傷つけて)いくんだそうです(笑)
いろんな嘘が飛び交っていました。
by fukuda (2015-09-04 10:49) 

Enrique

fukudaさん,コメントありがとうございます。
継ぎ目のないアルミのキャップは柔らかく口を容易に潰せました。外部からロウソクの火で加熱して発火点に達したところで爆発的に燃焼するのがポイントです。兄たちがやっていたのを見て覚えましたが,最初に見つけた子供は天才です。
レコードに関しては,その方法ですと雑音が出るだけで,何の音なのかナゾですね(笑)。後にエジソン式のドラムでの子供向けの実験向キットの様なものはあったかも知れません。私の子どもの頃はそんな気の利いたものはありませんでしたが。
ゲームなど無い時代ですので,子供たちは自らの手で遊びを開発していました。
by Enrique (2015-09-05 17:25) 

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