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フレッティングの考え方(9) [音律]

フレッティングの具体例について図示しています。前回は音律がキルンベルガー第一技法でした。今回はこれを第二技法,第三技法と比較してみます。またそのようなコンマ分割による,いわゆるウェルテンペラメントの音律のフレッティングを見て見ます。まず,ここでも各技法による弦長表を示します。左矢印で示したものは同左という意味です。

キルンベルガーI, II, IIIの弦長表
音名
I
II
III
C
= 1
D
= 256/243
D
= 8/9
= 2/5×51/2
E
= 27/32
E
= 4/5
F
= 3/4
F#
= 32/45
G
= 2/3
= 53/4/5
A
= 81/128
A
= 3/5
= 4/15×51/2
= 2/5×51/4
B♭
= 9/16
B
= 8/15
c
= 1/2

これらのおなじみの五度圏図を以下に示します。キルンベルガーIに関しては再掲になりますが,比較のため並べます。またその下にそれぞれのフレッティングも示します。
Microsoft Word - Colored五度圏・KBI.pngMicrosoft Word - Colored五度圏・KBII.pngMicrosoft Word - Colored五度圏・KBIII.png
KirnbergerIC.png
KirnbergerIIC.png
KirnbergerIIIC.png
コンマ分割によってフレットがうねって行く様子が分かります。

以下にA基準のものも示しておきます。
KirnbergerIA.png
KirnbergerIIA.png
KirnbergerIIIA.png

次に,キルンベルガーIIIと同様,ポピュラーなウェルテンペラメント音律である,ヴェルクマイスターIIIの五度圏図とフレッティングを示します。
Microsoft Word - Colored五度圏・WerckmeisterIII.png
Werckmeister III.png

次は,ヤングIIの五度圏図とフレッティングです。
Microsoft Word - Colored五度圏・YoungII.png
YoungII.png
この様なコンマを適宜分割したウェルテンペラメント音律は無数の様にあります。ヴァロッティ,マールプルク,ジルバーマンetc,21世紀の現在でも,Bachが(WTCなどで)用いた(のではないか)という音律が色んな観点から多数提案されています(つづく)。
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REIKO

順に見ていくと、面白いですね~!
これは鍵盤楽器にはできない芸当?です。
キルンベルガーIIIやヤングIIのC基準は、低音の4弦がほぼ「斜めフレット」になるんですか・・・。
by REIKO (2011-12-24 21:29) 

koten

KBⅢになると段差がほとんど無くなるのが面白いですね。
ギターはホ長調を良く使うことから、鍵盤楽器の音律を1個シャープ側にシフトすると良い場合が多いので、G基準の図も紹介すると喜ばれると思いますよ。予想ですが、KBⅢならばG基準でもそんなに悪いフレッティングにならないんじゃないですかね?
by koten (2011-12-25 11:21) 

Enrique

REIKOさん,コメントありがとうございます。
そうですね,ギターでは低音の4本の弦が高い方から低い方に向かってG, D, A, Eとなっていますので,この間を均等にコンマ分割した規則性が出るのですね(斜めないし直角でほぼ直線化)。実際フレットを並べてみないとなかなか気がつきにくい点ですね。
五度圏は音律の人相のようなものですが,このフレッティングというのも音律の雰囲気を伝える一種のマップになっています(鍵盤だとブラックボックスになるところがあからさまに見えています)。他の音律をもう少しやってみます。
by Enrique (2011-12-26 11:09) 

Enrique

kotenさん,nice&コメントありがとうございます。
そうですね,コンマの存在がフレットの段差なわけですから,コンマの分割によって段差は均されて行きますね。
フレッティングにはトリッキーなところがあるので,計算上ででもやって見ないと分かりづらいところがあります。
基準に関しては,やはりギターはC基準ではダメで,G, D, Aあたり比較して,オープンチューニングだけから見ればやはりA基準ですが,音律が均されるに従いG基準あたりが良くなる様な気がしています。後でやって見ますね。
by Enrique (2011-12-26 11:21) 

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