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NHKの音楽教室に関する思い出(ピアノ編) [雑感]

NHK教育TVの音楽教室には,ギターのほかにも,ピアノ,バイオリン,フルートがあったことを書いた。むしろ,それらのほうが主力で,クラシックギターが入っていたことのほうが画期的なことだった。やはりギターブームの余波だったのだと思われる。

それらの中でも,印象に残っているものを書いてみたい。今回はピアノ編。

ピアノには「ピアノのおけいこ」という番組があった。

先生は,安川加寿子さん,広中孝さん,そして井上直幸さんのを視聴した。なお,井上直幸さんの時は,初級編が氏の担当で,中級編は井内澄子さんと,週2回あった!当然で初級編を主に視聴した。特に後の2回分のときは殆ど弾けないのにテキストも購入して,視聴した。

安川加寿子さんの時は,そのにこりともしない,厳格そうな分厚い眼鏡の奥の眼に,TV通しても身の引き締まる思いがしたものだ。今風の言葉で言えば,「ピアノの先生,コェー」という感じ。

IMGP0608.JPG
広中孝さんのときのもの。難しくて全然歯がたたなかった。
他の楽器が週一回だったのに対し,ピアノは週二回だったようだ!

ものすごく対照的に,井上直幸さんは柔和で,ピアノを弾くこと,教えることが楽しくてしようがない!という雰囲気だった。

レッスンの一節をふと思い出す。何の曲だったかも忘れてしまったが。

井上先生:「この部分はどんな楽器で弾きたいですか?」

生徒:「...」戸惑って,口ごもる。

「先生はね,この部分はチェロでたっぷり歌わせて弾きたいんです。」
と,あふれんばかりの笑顔で,身振り手振りを交えながら,おっしゃる。

ふと,思い出しても,感涙ものの名レッスンだった。

IMGP0607-1.JPG
井上直幸さんと井内澄子さんのときのもの。
この時は初級・中級に分かれた!

まあ,完全に懐古趣味である。

しかし,

これを古きよき時代の遺物と片付けていいのだろうか?

こういうのをやると,ピアノ教室が流行んなくなるのだろうか?

近年のNHKのスーパーピアノレッスンは,文字通り大変スーパーなもので,バレンボイムがランランを教えていたり,アンドラーシュ・シッフが小菅優さんを教えていたりと,完全に大気圏を突き抜けて成層圏に達している。

NHKスーパーピアノレッスン シフと挑むベートーベンの協奏曲 2008年12月〜2009年3月 (NHKシリーズ)

NHKスーパーピアノレッスン シフと挑むベートーベンの協奏曲 2008年12月〜2009年3月 (NHKシリーズ)

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  • 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
  • 発売日: 2008/12/10
  • メディア: 大型本

確かに,成層圏からの天の声は,説得力を持って地べたの我々にも降り注ぐ。

ハイレベルなマスタークラスを見ているのだと思えばよい。もちろんこれはこれですばらしい。

地を這う,超初心者向けのレッスンもあった。申し訳ないが,これはさすがに私のレベルでも退屈だった。

ようは,極端なのである。我々は大気圏で生きているのである。

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nyankome

私は、「ベートーヴェンを弾こう」でしたっけ、オピッツさんの講義を見ていました。
by nyankome (2010-03-11 20:44) 

Enrique

nyankomeさん,nice!&コメントありがとうございます。
スーパーピアノレッスンはいつから始まったのでしょうか?昔のと違い余り見てないですね。学生時代とは違いこちらが忙しくなったせいもあるのでしょうが。「スーパー」なレッスンも色々感じることはありますが,エンターテイメントと割り切ったほうが良い気もします。
by Enrique (2010-03-11 21:20) 

Cecilia

「ピアノのおけいこ」時代の記憶はかなりおぼろげですがあります。
寺西昭子さんも講師をしておられたと聞いていますがその時代の放送に興味があります。
井内澄子さんはうちにある湯山昭さんの「お菓子の世界」という曲集の演奏で聴いています。
この番組から出来上がったということですが、娘たちも私も大好きな曲集です。
スーパーピアノレッスンはスーパーすぎて自分には高度すぎます。
かといって大人のピアノレッスンだとつまらないですし・・・。
今の私に合うレッスンが良いのですが・・・。
by Cecilia (2010-03-12 18:03) 

Enrique

Ceciliaさん,nice!&コメントありがとうございます。
湯山昭さんの「お菓子の世界」はCeciliaさんの過去記事にもあったと思いますが,この番組が発祥というのは知りませんでした。テキストにもかなり取り上げられていました。これはメルヘンですねー。子供も大人も楽しめるすばらしい曲集と思います(私にはむずかしいですが。)
この時期のレヴェルのレッスンをやってもらえるとありがたいのですが。。。何か理由あってあえてはずすのでしょうかね?
by Enrique (2010-03-13 11:20) 

mai

歳のせいか昔のことを思い出すことが増える昨今、突然、ふと、NHKの「ピアノのおけいこ」を思い出しました。
ちょくちょく見ていたと思うのですが、私の記憶にあるのは、ある男性講師のときのもの。生徒さんは小学校高学年ぐらいか、みなさん、とてもよく弾いていらっしゃいました。
チェルニー30番の5番がテーマで流れていた記憶があります。
講師の方は、例えば中村紘子さんのような有名人というわけではなかったように思いますが、教え方が具体的でとても勉強になり、私よりも母親が一生懸命見ていました。年代的に水谷先生あたりか...定かでないのが残念です。
お上手だった生徒のみなさん、その後どうされたかしら。
つい懐かしくて書き込みしてしまいました。
2010年の記事ですよね、お邪魔いたしました。
by mai (2020-06-12 00:08) 

Enrique

maiさん,はじめまして。
旧い記事でもご興味おありであれば,閲覧・コメント歓迎です。
たぶん私が見ていたのは75年前後の4年ほどですので,maiさんよりだいぶ後だと思います。
私の記憶の男性講師は広中孝さんと井上直幸さんです。
記憶の前後関係があいまいになっています。Wikipediaの記事によれば,どうも井上直幸さんの後が安川加寿子さんだったようで,こちらの記事の記憶もあやしいです。
by Enrique (2020-06-15 13:18) 

mai

ご返信、ありがとうございました。
私もWikipediaを確かめてみましたが、なにぶんにも記憶の方が不確かで残念です。
比較的最近の中村紘子さんのレッスンはわりと覚えています。
チャイコフスキーの「四季」から、各月の曲をご自身で弾いていらっしゃいましたよね。

ところで、当時は子どもでしたから、母に横からあれこれ説教がましく言われながら見ていて、あまり番組を楽しんだと思えません。今から思えば勿体ないことでした。
今ならもっと楽しめたし、勉強にもなったと思います。(フィルムは残っていないのでしょうか。)
今の時期、コロナ禍で家にいることが多く、慰みにひとりピアノを弾いていると、やっていてよかったと思います。
(実は素人が集まって室内楽も組んでいるのですが、ネット環境を整えることが出来ずにいます。)

ギターを弾かれるのですね。羨ましいです。
震災(阪神)のとき、ピアノもヴァイオリンも受け付けませんでしたが、息子の弾くギターの音色だけは受け入れることが出来ました。不思議でした。

あれこれ、長居して失礼いたしました。
時節柄、どうぞくれぐれもご自愛くださいませ。
by mai (2020-06-18 22:41) 

Enrique

mai様,
当家の家族はピアノが主でヴァイオリン,ギターです。
ギターは音が小さくやさしく音楽のメインストリームからは外れがちですが,フレンドリーな独特な楽器だと思います。
またいつでもご訪問どうぞ。
by Enrique (2020-06-19 11:52) 

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