セゴビア自伝 わが青春の日々 [雑感]
私の乏しい本棚に残っていた一冊。絶版になって入手困難らしいので,とっておいた価値はあった。発行が1978年だから,ゆうに一世代過ぎた。このころギターに独学で取り組んでいた。
ちょっと謎なのが,この本がセゴビアの誕生から1920年までの,名声を得る前,文字どおり「青春の日々」で終わっていることだ。その後名声を得てからの続編が続々と出てくるのだろうと思いつつ,私はギターを中断してしまった。
生誕から1920年までの自伝,元は英語版だ
この本のあとがきに述べられているが,翻訳者の真鍋理一郎氏はこの時点でなぜかセゴビアのスペイン語原稿が入手できず,本書はW.F.オブライエンという人による英語翻訳版からの和訳という。翻訳風で分かりにくい箇所の訳出はリュートのデボラ・ミンキンさんの協力を得たとのことだ。自身の自伝にも,あたかもセゴビア版の楽譜のような隔靴搔痒感がある。「1976年4月28日マドリッド アンドレス・セゴビア」とある。御年83歳。
最初ヴァイオリンを習わせられるが
この本のあとがきには,発音のことも述べられていて,Segoviaは,英語読みだとセゴヴィアなのだが,アンダルシアではセゴビアに近い音だという。アラビア語圏の人たちは日本人のrとlの発音と同じようにvとbの区別が困難だが,アンダルシアの人たちもアラビア語の影響を受けているのかもしれない。
初期のリサイタルのポスター
読み直そうかとも思ったが,何か精神的余裕がなく,ぱらぱらとめくっただけで本棚に戻したのだった。
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いつも拝読させていただいております。
Segovia の発音ですが、アンダルシアということではなく、
スペイン語では発音上 "b" と "v" の区別はありません。
ですから、他言語の学習をしていないスペイン人は
[v] の発音ができません。
日本語で Segovia を「セゴヴィア」と表記しているのを見るたび、「書いている人は [v] を発音しているのだろうか?
スペイン人の名前まで英語読みしなくてもよいのに」と感じます。
by あきら (2010-02-06 03:54)
あきらさん,貴重なコメントありがとうございます。
アラビア語でなく,スペイン語だったのですね。聞きかじった知識をつなぎ合わせた結果でした。
つくづく,カタカナ表記はむずかしいと思います。
読み方が定着するまでは,現地語表記のほうがいいのでしょうが,変なまま定着することもありますね。
by Enrique (2010-02-06 19:22)