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Winners & Losers [雑感]

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前にも,iPhoneの記事でちょこっと取り上げたIEEEのSpectrumという学会誌の毎年1月号に載るのが,Winners & Losersという記事。最近の先進技術を取り上げ,うまくいった事例とそうでない事例を取り上げる。それらの金額的規模や,成功失敗の理由などを解説している。

クラシカルギターの世界も古いようだが,結構新しい技術革新がある。ここでは私的Enrique版のWinners & Losersをやってみようと思う。

Winner: レイズドフィンガーボード
トーマス・ハンフリーがオリジネイターのこのシステムは,正面から見ると,伝統的なクラシックギターと変わらず,奏者や聴衆に違和感が無い。そのような見た目上の良さ,12フレット以上のハイポジションの弾きやすさ,および音響効率を両立している。
Loser: カッタウェイ
昔からあるが,エレキギターや一部のアコースティックギターのような概観が,クラシカルギターの愛好者からは受け入れなれないだろう。音響的には問題ないといわれるが,かといって,ハイポジションの弾きやすさ以外メリットがある訳でもない。むしろ,ボディが12フレットになっていることに慣れているクラシカルの奏者には必ずしも弾きやすくも無いだろう。

Winner: トルナボス
トーレスの発明らしい。独特な音響効果を発揮する。具体的には,ダクトの効果で,響胴の空洞共振周波数を下げることが出来る。比較的取り付けやすいので,現在でも試されている。
Loser: カマラ
理的には空洞内の空気にロードをかけて共振周波数を下げる。トルナボスと同じような効果が期待できるが,ボディ内に仕切りを入れるという,複雑さが製作家からそっぽを向かれた。

Winner: マシンヘッド
木ペグより重いが,チューニングが正確迅速。むしろ重量バランスをとるのに好適。19世紀ギターにも使われる。
Loser: 木ペグ
軽くて構造がシンプルだが,ヴァイオリン族と違い,チューニングは難しそうだ。一部のピリオド楽器やフラメンコ楽器には使われる。

その他
・多弦ギターはLoserだと思うが,対するWinnerが6弦ギターではあまりにもバランス悪いか。
・ダブル・トップ,ラティス・ブレーシング,アーチドバックは今後どうなるだろうか。
・弦に関して,PVDF(フロロカーボン)弦,プラスチック巻き弦などはどうだろうか。

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nyankome

こんにちは。
興味深く拝見しました。
木ペグは実際に使ってみるまで不便だと思っていましたが、19世紀ギターを弾いてみて、意外とそうでもないと感じました。
それと、音質にも関係していそうです。
音響学的にはどうなんでしょうね。
by nyankome (2010-01-30 11:48) 

Enrique

nyankomeさん,コメント&niceありがとうございます。
木ペグに関しては,バイオリンやリュートの印象で,ギターでの対等な比較はせず,独断で決めてしまいました。昔の人は使っていたので,使えないことは無いでしょうし,オリジナル重視の観点から面白いでしょうね。弦交換がすばやく出来るというメリットもあるでしょうか。先端技術の分野とは異なりますね。
音響的側面はどの層でとらえるかで話が全然異なると思います。ヘッドがかなり揺れていることを根拠に影響ありとも言えるわけですが,基本的な層では無視できる範囲で無いかと思います。アグアドだったかやったヘッドを支える方式のシステムもありましたね。
by Enrique (2010-01-30 22:49) 

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