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アンプの話(2) [電気音響]

初期の半導体製は真空管回路を初期のトランジスタ(今日ではバイポーラトランジスタと呼ぶ)で置き換えたようなものであったが,次第に半導体の特徴を生かした回路構成に移り変わっていった。その大きな成果が出力トランスを省略できることだった。

真空管式は内部抵抗が高いので抵抗の低いダイナミックスピーカを直接駆動できず,出力部分にマッチング・トランスがいる。これは力の伝達系に例えれば変速機のようなもので,その性能が音質をかなり左右する。良いものを使うと,それなりに大きく重い。それに,電源もヒータ(フィラメント)と陽極に掛ける電圧に高圧がいるので,電源トランスも大きくなる。そんなこともあり,蒸気機関車が電車に置き換わるがごとく真空管式は半導体式に置き換わり,姿を消した。真空管そのものの国内生産が打ち切られて久しいが,ロシアや中国では製造が続けられており,リバイバルした真空管アンプの使用を支えている。

最近の流れは,デジタル化である。これは当然半導体の独壇場である。真空管をそのまま半導体に置き換えた当初の使用法から,特有の使用法に進化していった半導体製アンプであったが,デジタル技術では,高度に集積化された個々の半導体素子は微小なスイッチの役目を果たしている。デジタルで扱う数字としては2進数の1か0かがスイッチのオン・オフに対応して最も扱いやすく,間違いが少ないからである。

デジタルの場合,避けて通れないのが,AD-DA(アナログからデジタル,デジタルからアナログ)変換の存在である。もともとの音はアナログ量であるので,これを何らかの形でデジタル化,すなわち0と1に分解しないといけない。これには幾つかの方法があり,従来のCDでは,PCM(パルス符号変調)方式を用い,44.1kHzすなわち一秒間に441,000回の標本化を行い,一つの標本データは16ビットすなわち65,536段階の階段で表している。現在はデジタル万能時代だが,元の信号はアナログであるため,必ずアナログ部分が存在すること,そしてその部分が音質を大きく左右することには留意しなければならない。

高スペックオーディオ考」で述べたが,最新のDVDオーディオは,CDの規格を拡張して標本化周波数を最高192kHz,縦軸24ビット(167,777,216段階)としている。また,SACDでは,デジタル変調方式が異なっており,縦軸は1ビットだが,標本化周波数が約2.4MHzと非常に高い。

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