SSブログ

楽器とマニア [その他]

楽器にこだわる人がいる。かくいう私も,放っておけば,楽器だらけになろうが,妻という重しがあるので,かなり抑制されており,安いものを含め5本とおとなしいものである。マニアにとってそれは生活の一部である。大げさに言えば,体の一部であり,精神の一部である。楽器は実用品でありながら工芸品,骨董的な価値も持ち,弾く人はもちろん,鑑賞がメインの人のコレクターズアイテムとしても申し分のないものである。

作家逢坂剛さんは楽器コレクターとして知られる。ご自身もかなり演奏されるようだ。先日,村治佳織さんが氏所有のサントス・エルナンデスを演奏しているTV画像をYouTubeでみた。曲目は「ヘネラリーフェのほとり」。技術,経歴,そして華,どれをとってもすっかりロドリーゴ弾きになった彼女の名演が聞かれる。チューニングをさっと済ませるのは,彼女の美点の一つだが,使い慣れない楽器を用いるので,クリップタイプの電子チューナを付けるのはOK。

楽器と同じように,日常使う万年筆などの文房具にも,単なる道具以上の愛着を見せる人たちがいる。フィルム時代のカメラでは,ハッセルブラード。プロ御用達だったが,ハイ・アマチュアも持っていた。最初のボーナスで買ったのが国産の中型一眼。ハッセルは一回のボーナスでは買えなかったし,レンズなどそろえようものなら一財産。壊れやすかったらしいが,壊れると使い方が悪かったと,カメラに謝り,所有者は反省したのだそうだ。モノもここまで愛されると作った人も本望だろう。マッキントッシュ・コンピュータにも少しそのような雰囲気はあったし,今はなきベータビデオなどにも,一種のこだわり,エンジニアの矜持が感じられた。

かつてはカーマニアのことをカーキチとか,凝った人のことを何とかキチと呼んだものであるが,今は余り使わない。一時期は何とかオタクと言った。何をいまさらだが,戦後のラジオブームでラジオや無線,オーディオなどのマニアが生まれ,この人たちが生産と消費両面にかかわり,電子立国日本の基礎を築いた。様ざまな原因があろうが,現在のマニアは傾向が変わってきた。今後は中国やインドの技術者がかつての日本の技術を担うのだろうか?ちなみに,マニアとは躁病のこと。モノマニアは偏執病。

nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0