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トリルの弾き方 [演奏技術]

ギターを始めた頃は文字通り装飾符の意識であり,グリーンスリーブスの前半・後半の締めくくり部分などに長めのトリルを入れたりして,一人悦に入っていたものだ。何分独学だし,装飾符の弾き方をあまりうるさく言う時代でもなかった。作曲当時のスタイルを研究して弾くなどとという,現在のような時代ではなかった。

その後始めた鍵盤の楽譜には,装飾符の弾き方の表が楽譜の扉についていた。トリルにも種類があり,しかも沢山ある装飾符の中の一つであり,しかも上音から掛けるなどのことを,鍵盤をやって納得した。しかし初級レベルでは装飾音を取り除いたり,簡略化することもある。技術は初心者レベルなのに,装飾符などに妙にこだわる,いやな生徒だったかも知れない。ギターでは2本の弦を使ってトリルなどをやるのは,イダ・プレスティが創始だったという。単なるトリルでも明確に弾くのはチャレンジだったのだ。

私が愛読したVol.2桁台の現代ギターでは,どうしてもクラシックギターの狭い分野にはまりがちなギター愛好家のため,広く音楽の基礎からの内容に触れられていた。音楽の基礎から,装飾符の弾きかたと言った実用的なことまで,必ずしもギターの世界だけに留まらず,当代一流の作曲家の方などが執筆していた。

鍵盤に走っていた時期やったチェルニー編のバッハ/インヴェンションは,バロック時代ではなく,チェルニーの時代感覚で編集されている。当然時代が違うので,装飾符等もチェンバロでなくピアノで弾くために変更されていたが,随時原典に戻して弾いた。原典版を用いるのは当時からもう常識になっていた。ギター再開後に取り組んだセゴビア編ソル練習曲も同じようなものかと思っていたのだが,必ずしもそうでなく,ずっと影響が強かったようだ。

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現在は,ギターの楽譜もきちんとしており,鍵盤の場合と同じように,装飾符の弾き方の表がついていたり,装飾符記号だけではどう弾いていいのかわかりにくいので,場合によっては解決譜(リアライゼーション)が付いている。

もともと装飾符は音に強弱がつかず,伸びないチェンバロの音などを何とかするために,考案されてきた側面がある。チェンバロとは異なり,音にダイナミクスがつくのが,リュートやギターの特徴なので,チェンバロほど凝らなくてもよいのかもしれない。しかも数字つき和音と同じように,ある程度のルールの中での即興性もある。古楽系をやる場合は,現在では弾き方が間違っていると,ちょっと恥ずかしいが,上手にやればセンスが光り,文字通りのしゃれた装飾となる。

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