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年齢により聞こえる音 [電気音響]

人間に聞こえる音の周波数範囲は20Hz~20kHzと言われる。
しかし,高い方は年齢とともに聞こえなくなる。残念ながら,これは致し方ない。
うちの子供たちを実測してみた結果では,20才前だと19kHzからきっちり20kHz近くまで聞こえるようだ。
当方が全く聞こえない音をオン・オフして,「聞こえる・聞こえない」と言っているは異様な気すらする。お前ら,コウモリか?!

一昔前数百万円した基準信号発生器
(周波数シンセサイザ)が現在では十数万円で入手できる。
FG.JPG
「聞こえ」は当然,周波数だけではなく音圧にもよる。音の測定は20マイクロ・パスカルの音圧を基準に,これと等しいものを0dB,10倍を20dB,100倍を40dBなどと,比率の単位dBを使うことになっている。自宅での簡易測定では,アンプにつないだ基準信号発生器を周波数1kHz,出力最低レベルでかすかに聞こえる様,アンプのボリュームを調整し,これを基準音圧とし,+40dBまで測定(検査)してみた。もちろんここで使うのは真空管アンプではなく,半導体製のもの。スピーカは小型だが高音用のユニットがついたものを用いた。聴力検査のように,ヘッドホンを使った方が良いと思う。

若者は20kHz近辺まで聞こえるのだが,何と自分は12.7kHzまでしか聞こえない!それも+40dBでである。若者はうるさくてやってられないレベルである。0dBレベルでは約10kHzまでしか聞こえない。10年あまり前,遊びでやってみたとき14kHzまで聞こえた記憶があるので,これはかなりショックである。人に測ってもらうのならば,多少見栄も張るが,自分で周波数を上げて行って,聞こえていたものが明らかに聞こえなくなるのでは認めざるを得ない。どうもこれは,音楽の経験とかは多分あまり関係なく,ほぼ年齢により変化するもののようだ。

絶対音感を持ち,ピアノの音色の違いが聞き分けられるという妻も早速実験台に。自信があるのか,意欲的かつ従順に取り組むので大変やりやすい。年齢は私よりも7歳あまり若い。結果は予想外に情けないもので,+40dBでの最高可聴周波数12.8kHzと大差ない。ただし,私の耳の特性と異なり,レベル差による周波数特性にあまり差がない。低いレベルの0dBから12kHzまで聞こえる。私はこのレベルでは10kHzまでしか聞こえないので,小さな音でこの範囲の10kHz~12kHzを出されると妻は聞こえるが私には聞こえない。ちなみに,聴力検査の高い方は8kHzで小さい音で行うので,妻は4kHzのマージンを持っているが,当方は2kHz。このあたりが年齢差だろう。もっとも8kHzは1kHzよりも聞こえやすいくらいなので,医学的な聴力としては全く問題ないとは思う。

ここでわかるのは,色んな周波数の音が混ざっている音楽を聞いていても,人や年齢により少し違って聞こえるはずということである。もちろん,楽器の音程を決める基音はかなり低く,ピアノの最高音C6で約4.2kHz,ピッコロもこの程度だろう。だから,通常の聴力検査で異常なければ,ピアノやピッコロの最高音の倍音程度までは聞き取ることが出来る。しかし,高次倍音は基音に比べ小さくなるから,妻と私の耳では最高音の3倍音あたりでは差が出る。むしろ普通に鳴らす音の8次・9次といったピアノの音色に重要な倍音成分の聞き取りに少し差が出るかも知れない。

ギターはどうか。1弦の開放弦は約330Hzであるから,妻の耳と私の耳では30次倍音以上くらいのところで音色に影響があるのならば差が出るはず(19フレットの最高音B3を弾いて約990Hz,その場合10次倍音以上)だが,感覚的に多めに見てもフリーの弦振動に含まれるのは開放弦の20倍音程度ではないかと思う。(以前触れたアコギの低音弦では20倍音程度で巻線の材質の違いでシャリシャリ感が出ていたが,通常はほぼ消えるあたりだから,ここに高次倍音があれば音質差が際立つ。)ギターの音に関しては,やや我田引水的ながら,十分聞こえる周波数帯域で勝負できると思う。クラシック・ギターの音にはもともとキンキン,シャリシャリした感じがない。

年齢により,高い音が聞こえにくくなる原因は医者でないのでわからないが,聞こえのメカニズムは最新のオーディオと同じく,鼓膜で拾った音振動をパルス密度変調して脳に送るのだそうだ。神経や信号処理系の性能はそう簡単に落ちるとも思えないので,皮膚の弾力の低下などと同じく,鼓膜など振動系の変化ではなかろうかと思う。要は,若干ローパスフィルターがかかって,聞こえる音色は角がとれて丸くなるということで,必ずしも悪いとも言えない(と思うことにしよう)。


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