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バロック音楽のたのしみ [雑感]

1969年からNHK-FMであった早朝の番組である。その後,「あさのバロック」,現在は「バロックの森」と名称を変え存続している。以前そのテーマ曲について触れた。

80年だったか,「リュート,ギター,マンドリンの音楽」と題して,2週間にわたり(5月21日~6月1日)特集番組があった。特に印象に残っているのが,3日目に流された「プレリュード,フーガ,アレグロBWV998」である。リュートで演奏された。演奏はゲルヴィヒ門弟オイゲン・ミュラー・ドンボア。服部幸三さんが,あの口調で語りかけた。「バッハのリュートの曲にこんな素敵な曲があったのか?初めて聞いたという方もいらっしゃるのではないか」と。手工楽器を手に入れ,背伸びしてクラギをがんばっていた私は,パリコンのセルシェルの演奏(イエペスはまだ聞いていなかったと思う)をすでに聴いていたため,かすかな優越感を持って聴いていた。しかし,対象は一般音楽ファンで特に撥弦楽器ファンというわけではなかっただろうから,当然のことだっただろう。

CDの無い当時,オーディオは高級で,下宿に持っているものはそう多くはなかった。兄からもらった大型のラジカセが私の音楽ソース。当時貴重な音源を逃すまいと,大学の授業にも出ないでせっせとFM放送をエアチェックしていたが,中継状況からか音が途切れたりすることも結構あった。この放送の時は,万一寝過ごしては大変と,オーディオセットを持っていた友人にタイマー録音しておいてもらいながら,自分も起きて生で聞くという,万全の態勢をとった。聞き終わって安心して寝ていたかもしれない。

リュートが5日目までで全体の半分,ギターが9日目まで,マンドリンが10日目といった配分だった。リュートの曲をギターで弾くことも多く,ヴィヴァルディのリュート・コンチェルトをギター・コンチェルトと言い換えて演奏することも多かった。マンドリン・コンチェルトもしかりである。しかしこの様に楽器を並べると,リュート曲をギターで弾くと言うパターンはありえない。すると,純粋にギター・オリジナルとなると存外少なく,8日目からはチェンバロ曲などからの編曲が,そしてついに9日目には,ジュリアーニ,カルリ,そしてソルが登場した。服部さんは,「バロックではなくクラシックではないか?」と言われそうと,自問自答してはいたが,はっきりとその理由は述べられなかったが,やはり,バロック期で隆盛を極めたのち姿を消したリュートに比べ,ギター曲のレパートリーは隆盛が古典期にまたがると言うことがその理由だったのだろう。また,今でこそ,リュートは勿論,バロック・ギターやヴィウエラの演奏も盛んだが,当時はピリオド楽器の良い録音が少なかったのだろうか。

今でも,あの伝ヴィヴァルディの「忠実な羊飼い」のメロディにのって服部さんの語りの声が耳の奥に聞こえてくる。


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