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シャコンヌに関して [演奏批評]

シャコンヌは舞曲の名前である。通常,単にプレリュードとかサラバンドとか言っても,誰のどの曲を指すのか分からないが,シャコンヌの場合,ほとんどはバッハのバイオリン・パルティータ2番の最終楽章を指す。ほかのギター関係で有名なのは,ヴァイスのシャコンヌだろう。バッハのはその規模の大きさから,オリジナルのバイオリンにおいても,しばしば単独で弾かれる。また,オリジナルとはいっても,現代のバイオリンはバッハ時代の楽器や弓とは異なることがたびたび話題になってきた。

バッハ弓による無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ(全曲)

バッハ弓による無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ(全曲)

  • アーティスト: ゲーラー(ルドルフ),バッハ
  • 出版社/メーカー: BMGメディアジャパン
  • 発売日: 1999/12/16
  • メディア: CD

バッハ・ボウ(湾曲弓)と呼ばれる弓で弾いたゲーラーの演奏を聞いたら,すっかりこれにはまり,なんぼ名手の演奏と言え従来の楽器と弾き方の演奏は聴けなくなってしまった。ここで使われる半月形のバッハ・ボウは必ずしも歴史的な正当性は無いようだが,それとは関係なく,これで弾かれた演奏はまるで別の楽器のような趣である。従来のバイオリン演奏ならばギターの方が無理が無いかなと思っていたのだが,これを聞いたらまるで,小さなバイオリン一挺が四挺になるかあるいはパイプオルガンにも匹敵するような衝撃であった。持続音であるために,ギターの和音のアルペッジョ的奏法と同時奏法との違いよりもはるかに違う。

全曲すごいが,特にシャコンヌの冒頭,引掻くようなアルペッジオ風和音での演奏に慣れていた耳には,最初聞いたときは美しすぎて却って異様だったが,逆にこれにはまってしまった。特に和音が続くような箇所は聞きもの。

村治さんのCDに入っている演奏は従来ありがちなシャコンヌ単独演奏でなく,パルティータ2番全曲演奏である。いつもながら,すっきりと楷書の演奏。村治さんの見識とそれを可能にする技術にも敬意を払いたい。

譜読み程度してみたことはあるが,きちんとまじめにやった事がないのが,本人のこの曲に対する取り組み状況である。
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