テクノロジーとギター [雑感]
クラシックギター,およびその周辺に使われているテクノロジーにはどんなものがあるか?
・金属フレット。洋白と呼ばれるニッケル銅合金が使われている。これを扱うのは日本とアメリカの2社寡占状態。これの太さ高さ硬さにより,弾きやすさが結構変わるが,あまり議論されることはない。金属フレットは平均律と合金学の産物。リュートやガンバなどはネックにガット弦を巻きつけている。
・ウォームギヤ 。これはおなじみのペグと糸巻き部の微調整装置でマシン・ヘッドと呼ばれるアッセンブル部品につく。有名なメーカーが世界に数社あり,楽器のグレードに応じたものがついている。ウォームギアはメカニカルなものだが,これはチューニングにおいて大変助かる。 フラメンコ楽器のような木ペグ式のものだとチューニングが大変。19世紀ギターで既にマシンヘッド式になっているものが多いようだ。バイオリンやチェロでウォームギヤ式を使わないのは,ヘッドが重くなることを嫌うのと,必要に応じ駒側(テールピース部)でアジャスターにより微調整出来るからである。
・ ナイロン弦。これについては既に書いた。
・楽器周辺では,やはりエレクトロニクスの進歩による影響が大きい。 演奏に直接関わるものとして電子チューナーがある。一方従来より,ローテク・アナログ・アコースティック技術の粋を集めた「音叉」がある。ハイテク技術のチューナも基準振動は水晶振動子の音叉を用いているので,原理的には変わらない。原理はさておき,実際面でも電池も要らずコンパクトな音叉は優れものだと思うのだが,まあ,電卓よりも計算尺の方が良いという人間なので,話半分で。
この電子チューナーのコンパクトなものがある。これはヘッドにクリップで取り付けられ,演奏中にもつけるのが流行って?いる。調弦時間を減らすとか,絶対音高を保つなどの効能があるのだろう。電子チューナーそのものを使わない私などには関係の無いことではある。
蛇足ながら, エレキ楽器の分野で,ロボット・ギターなる,オート・チューニングシステムが出ている。米・ギブソン社が独・Tronical社のシステムを導入して,ペグを巻かなくても自動的にチューニングしてくれる楽器を1年以上前から出している。音をピエゾで拾っていると言うから,生楽器にも十分適用可能な技術だろう。CPUを積んでいるので,変則チューニングなども朝飯前。そのうち,ギタリストもピアニストのように,チューニングに関係なくなる日が来るのかも。
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